時事通信が次のようなニュースを配信(10月11日午後3時51分配信)。「宮内庁の山本信一郎長官は11日の定例記者会見で、例年4月に開催されている天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会について、来年は取りやめることを明らかにした。4月末の陛下の退位を控え、日程の確保が困難なことが理由。このため、両陛下主催の園遊会は、11月9日に実施される秋の園遊会が最後となる。長官は、来年秋の恒例の園遊会についても、皇太子さまの即位の礼や大嘗祭があることから、実施は難しいとの見方を示した」と。これだけを読むと、来年は1度も園遊会が催されないように受け取られかねない。現に、そそっかしい新聞などは以下のように報じている。「新天皇、皇后のもとでの最初の園遊会は再来年の春になる見通し」(産経新聞10月12日付)と。しかし、そんな事はい。来年、園遊会は恐らく実施されるはずだ。今上陛下の“前例”を振り返ると、「恒例」では“ない”園遊会が催されると予想できるからだ。今上陛下の場合、平成の「即位の礼」が行われた後、大嘗祭が行われる前に、大礼(たいれい=即位の儀式)関係の行事として園遊会が実施されている(平成2年11月13日)。この時の招待者は、即位の礼に参列した外国元首や祝賀使節とその配偶者など。だから、来年も同じく大礼関係の行事として、(10月の即位の礼挙行後、11月の大嘗祭執行の前に)園遊会が催されるはずだ。更に今回は、喪(も)に服す必要がないご譲位による皇位継承なので、皇太子殿下が5月に即位された直後に、別に園遊会を催すという選択肢もあり得る。その場合の招待者は、「即位後朝見(ちょうけん)の儀」に参列した三権の長、国会、地方自治体の代表らになるだろう。ちなみに来年は、皇太子殿下のお誕生日である2月23日を過ぎてご譲位がある。その為に、この年だけ「天皇誕生日」が無くなる。だから、広く国民が参加できる皇居での一般参賀は、新年(1月2日)だけになってしまう、と早合点する人がいるかも知れない。だが前例に従えば、やはり大礼関係の行事として、即位の礼(と園遊会)の後、大嘗祭の前に、一般参賀が行われるはずだ。
念の為。